お知らせ

検査データの見方

1. なぜ定期検査が必要なのか?

それは、透析を続けながら元気に暮らしていくためです。

検査項目がいろいろあるので、その目的や意義を正しく理解して、透析がうまく行くように役立てましょう。

透析療法は受け身の医療ではなく、患者さん自身が積極的に取り組む医療です。検査データは、医師と患者さんが共有するものです。
必ずもらって、自己管理につなげましょう。

2. 透析効率をみる検査

クレアチニン(Cr)・尿素窒素(BUN)

クレアチニン(Cr)は筋肉でつくられ、本来なら尿中に排泄させる老廃物の一種です。腎機能が悪くなると排泄できず、血中濃度が高くなりますが、透析で除去すれば低くなります。自分の基準値を知っておくことが大切です。
 尿素窒素(BUN)は血中の尿素に含まれている窒素量を示したもので、タンパク質の多いものを食べると上昇します。Crと共にBUNを測定することで、透析量が十分かどうかを判断できます。

3.電解質の検査

カリウム(K)

カリウム(K)の上昇は非常に重大で、7.0mEp/Lを超えると、生命に危険が及びます。この値には最大の注意を払ってください!!!
また、食べられなくなり、やせてきた時にも、細胞が壊れてカリウムが放出されるため、カリウム値は上昇します。重症になると、心臓が止まってしまうこともあります。検査結果を見ながら日常の食事内容に注意し、自分自身でコントロールするようにしましょう。

ナトリウム(Na)

ナトリウムとは塩のことで、塩分は1gにつき100mlの水分を引き付けるので塩分をとりすぎると喉が渇いて水分をとり、血液中の水分の量が増え、体重も増加します。また、高血圧や肺水腫をきたす事もあります。

カルシウム(Ca)

カルシウムは骨のもとになる物質のひとつです。
低カルシウム血症では、骨がもろくなります。高カルシウム血症では、しびれ・イライラ・錯乱を認めることがあります。市販のカルシウム剤を服用する時はスタッフに確認してください。

リン(P)

リンは骨・筋肉・エネルギーに重要な働きをしています。腎不全では、排泄が悪く高値です。高リン血症が続くと骨の痛みを認めたり、骨がもろくなったり変形します。リンとカルシウムの値を掛け合わせた数が70以上になると関節・血管・筋肉などに石灰化の異常沈着が起こる事があります。

4.貧血の有無をみる検査

赤血球(RBC)・ヘマトクリット(Ht)・ヘモグロビン(Hb)

貧血は血液の血色素(ヘモグロビン)濃度が低下した状態です。慢性腎不全や透析患者さんでは、腎臓で作られるエリスロポエチンという造血ホルモンが減少するため、貧血がおこりがちです。
貧血は、赤血球検査で調べます。これには赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)などがあります。これらのデータが基準値以下であれば貧血が疑われます。

5.骨障害、透析アミロイドーシスの有無をみる検査

ベーターツーミクログロブリン(β2‐MG)

腎不全では、体内にたまったβ2‐ミクログロブリン(β2‐MG)がアミロイドとなって体内に沈着します。その結果、骨・関節障害や手根管症候群(手のひらの手首よりにある手根管に沈着すると痛み・しびれ・握力低下をおこす)が発生します。いずれも沈着したアミロイドの塊によっておきることから、透析アミロイドーシスと呼ばれています。透析期間が長くなるにつれてこれがおこりやすくなれため、血中のβ2‐MG値に注意していくことが大切です。

6.心臓の大きさをみる検査

心胸比とは、胸部レントゲン写真で胸郭の最大幅に対する心臓の最大幅の割合のことです。 体内の水分量が増加したときに心胸比も大きくなります。一般的に50%以下が正常ですが、個人差があります。 体内の水分量が増加した時や、体内のタンパク質が著しく減少したときに、肺に水がたまり呼吸困難をきたします。

項目透析前の目標値
クレアチニン(Cr)13~16 以下
尿素窒素 (BUN)80 以下
ナトリウム (Na)137~145 mEq/dl
カリウム (K)3.5~5.5 mEq/dl
カルシウム (Ca)8.5~10.6 mg/dl
リン (P)6 以下
赤血球数 (RBC)250~300万/mm3
ヘマトクリット (Ht)25~30%